電験二種講座,講義紹介:電磁気学4(電磁誘導)

電験二種講座に関しては,「次回の」講義について簡単に紹介していきたいと思います。

※あくまでも「簡単な紹介」ですので,講義で扱う全ての項目に触れているわけではありません。

電磁誘導をより深く,正確に理解する

電磁誘導という現象は,結論だけを見れば簡単なことのようにも見えますが,より深く,正確に理解することで,「ここまでシンプルなのか」という感想も持つでしょうし,部分的には驚かざるを得ないでしょう。

電荷に働く力の要因は,○種類だけ

電荷に働く力の要因は,たったの○種類だけです。
まずはここが出発点になります。

誘導起電力の原因は,○種類

誘導起電力というのは,たとえそれが1本の式で表現されていても,原因は○種類あります。
それらの原因を個別に考えることは,電気機器の学習においても大いに参考になるでしょう。

「起電力と呼ばれるもの」のメカニズム

回路理論においては「起電力が 3 V ある」ということと「電位差が 3 V ある」ということを,ほとんど区別しません。

しかし物理学においては,起電力と電位差は全くのベツモノです。

では,「起電力と呼ばれるもの」の内部ではいったいどんなことが起きているのか––そのメカニズムを学びます。

起電力の定義

「起電力が 3 V ある」といったとき,その起電力というものはどのように定義されたものなのでしょうか。

電験の参考書には,起電力の定義が書かれていることはまずありません。
せっかくなので「起電力というものがどのように定義されているのか」を知っておきましょう。

起電力が発生する,具体的事例

起電力が発生する,具体的事例において,「どのような原因で起電力が発生しているのか」を理解したうえで,「起電力[V]がどのような式で表現されるのか」をおさらいします。

起電力の式はカンタンなものではあるのですが,電験の参考書などでは,「ある観点」に全く注意が向けられていません。

ですから,熱心に勉強された方であっても,その観点が重要性を増す局面においては,無理解や誤解を露呈してしまうのです。

講義では「ある観点」を強調してお伝えします。

起電力の式を,原因から導出する

使い慣れた起電力の式のうちの1本を,その原因にさかのぼって導出してみます。
(もう1本は,難しいのでやめておきましょう…)

起電力についての考察

磁束の発生源が複数ある場合

誘導起電力は,磁束(あるいは磁束密度)との関係で発生します。

誘導起電力の説明において「磁束の発生源が複数あった場合は…」といったことには,まず言及されません。

しかし,電気機器の学習をすればわかるように,磁束の発生源は複数あるのが一般的です。

では,磁束の発生源が複数ある場合,誘導起電力はどのようになるのでしょうか。

また,磁束の発生源が複数ある場合,どのように考えると「わかりやすくなる」のでしょうか(そして,そう考えて良い根拠は何なのでしょうか)。

こんなことを考察します。

検流計をつないだコイルに,磁石を近づけたら…

検流計をつないだコイルに,磁石を近づけたらどうなるか,を解析してみます。

解析結果から,「磁束の変化を妨げる向きに発生した起電力に応じて電流が流れた結果,どうなるのか」がわかるでしょう。

そして,初学者に提示するテーマとしては「難しすぎる」こともわかるでしょう。

抵抗と電圧源(起電力)を取り換えてみる

ある回路において,抵抗があったところに,抵抗の代わりに電圧源(起電力)を入れた場合どうなるかを考察します。

このようなことを考察する理由の一つとしては,ある電気機器の等価回路において,明らかに起電力で表現すべきところを抵抗で表現してしまっていることが挙げられます。

「起電力を抵抗で表現する」ことは,話がカンカンになるというメリットもありますが,正しい理解に到達しにくくなるというデメリットもあると考えています。

発電機=起電力,電動機=電磁力?

「発電機の原理はフレミングの右手の法則で,電動機の原理はフレミングの左手の法則です」などという言い回しは,べつに間違っているわけではありません。

しかし,100点満点だとすると,50点程度にとどまってしまいます。

発電機では,起電力「しか」発生していないのでしょうか?
電動機では,電磁力「しか」発生していないのでしょうか?

ファラデーの電磁誘導の法則は,いつでも成り立つ?

ファラデーの電磁誘導の法則が「成り立たない」例も紹介したいと思います。
(「成り立たない」と,括弧付きで表現させてください)

そのような場合でも「誘導起電力の原因」については,なにも覆されないことがわかるでしょう。

「磁束が動く」という考え方は,問題ない?

磁石の先から「磁束が生えている」と考えている人は,「磁石を動かせば,生えている磁束も一緒に動く」と考えるかもしれません。

しかし,「磁束が動く」などと考えて,問題ないのでしょうか?

「相対的な運動が同じなら,結果も同じ」なのか?

多くの場合,「相対的な運動が同じなら,結果も同じ」なので,この命題に疑問を持つことすらないかもしれません。

少し面白い例を挙げて,この命題が「つねに成り立つのか」を検証してみます。

起電力を計算する

電験二種の理論科目対策として,三種では扱わなかったような複雑な例における起電力を,いろいろと計算します。

電験二種なので,もちろん微分も積分も使います。

積分は,これまで主に行っていた「ベクトル場の線積分」とは違ったものを扱います。
積分における一つのスタンダードとして,使いこなせるようになって欲しいところです。


また,「 $\sin\omega t$ を $t$ で微分する」というのはどういうことなのか,微分の「公式」とグラフを付き合わせて,検証してみます。

電気機器内部での誘導起電力

2次試験対策として,みなさんは電気機器を学習します。

その中で,誘導起電力に関連して「よくわからない」ことに出会うことでしょう。

しかし,2次試験対策に突入してからでは,それらの「よくわからない」ことについて,じっくり考えるのは難しいかもしれません(時間的な制約があるでしょうから)。

せっかくですので,この機会に「よくわからない」ことについて,起電力の本質に注目したうえで考えてみたいと思います。

変圧器

変圧器は,鉄心にコイルを巻いたものですので,各々のコイルの自己インダクタンスは非常に大きなものになっています。

ですから,無負荷の変圧器の一次側に電圧を印加しても,自己インダクタンスが大きすぎるので,「微弱な電流」しか流れないのです(励磁電流)。

しかし二次側のコイルに負荷をつなぐと,状況が一変します。

二次側のコイルだって自己インダクタンスは非常に大きいはずなのに,その大きな自己インダクタンスを全く無視して,電流がジャバジャバと流れ出します。

そして,一次側のコイルにも,その大きな自己インダクタンスを全く無視して,電流がジャバジャバと流れ出します。

なぜこのようなことが起こるのか,少し特種な変圧器との比較をしながら理解を深めたいと思います。


また,「起磁力の合成と磁気飽和」というテーマについても,少し考察します。

誘導機

誘導機の等価回路の導出過程において,「理想変圧器の入力と出力が釣り合わない」回路が登場します。
「この回路はオカシイのではないか?」と思うわけです。

これは,電験二種や電験一種に挑戦される方の多くが疑問に思う点で,私自身も何度もその「解明」に取り組んでは挫折したテーマです。

しかし,これも「起電力の原因」にまでさかのぼって考えれば,「何が起きているか」が理解できるようになります。

逆にいえば「起電力の原因」にまでさかのぼらなければ,何が起きているかは理解できないでしょう。

簡単な回路を使っての導入的な説明も含めて,紹介したいと思います。

直流機

三種を受験する際にも直流機について学習したと思いますが,その際「整流」の内容をすんなりと理解できましたでしょうか?

時間的な制約もあって,あまり踏み込んで学習できなかったかもしれません。

起電力という観点から,この「整流」について今一度考えてみましょう。

同期機

「短絡試験」において,「遅れ電流による減磁作用によって,磁気飽和しない」といった言い回しを学習したと思います。

もちろん間違いではありませんが,理解があまりにも表面的にすぎると感じます。

講義では,もう少し踏み込んで「何が起きているか」を考えてみたいと思います。


また,短絡試験時の「永久短絡電流」が思いのほか小さい同期発電機ですが,なぜか短絡事故時には非常に大きな短絡電流が(一時的に)流れます。

これはいったい何が起きているのでしょうか?

起電力という観点から考えてみたいと思います。



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