電験二種合格のための,電験三種学び直しガイド(各論6):交流電力/三相交流回路
「交流の電力」の扱い方については,すでに三種に合格している方ならさほど苦労はしていないでしょう。
しかし,「交流の電力」という概念自体があまりにも「便宜上のもの」ですので,その実体がなんなのかを把握できずにモヤモヤしたものが取れずにいるかもしれません。
学び直すのであれば,ここはじっくりと掘り下げてみたいところです。
さて,電力 [W](1秒間当たりの電気エネルギー [J])というものは,直接測定できるものなのでしょうか?
つまり,電力計の中には「電力センサー」とでもいうものが入っていて,電力を直接測定しているのでしょうか?
そうではありません。電力計は,(乱暴に言えば)電圧と電流を測定しているだけです。
つまり,電力について掘り下げて考えるとなると,結局は「電圧と電流」に立ち戻って考えなければならないのです。
また,電圧や電流の本質は「瞬時値」なのですから,電力もその本質は「瞬時値」(瞬時電力)にあります。
学び直しの際に考えてみたいテーマを思いつくままに挙げてみましょう。
- 瞬時電力に「無効電力」というものを考えることはできるか
- 「有効電力が10 [W]」といったとき,いったいなにが「10 [W]」なのか
- 「無効電力が10 [var]」といったとき,いったいなにが「10」なのか
- 「皮相電力は電源から送られる電力で…」などという便宜上の言い回しは,本当のところ「正しい」のか
- 「進み無効電力の消費」や「遅れ無効電力の供給」というような便宜上の表現をどう捉えたらよいのか
- 電圧や電流の「実効値」とは,そもそもなんだったのか(電圧や電流を実効値以外で扱う人たちも沢山います)
- 力率を「エネルギー効率」と捉えるのは正しいか
- 負荷に力率改善用のコンデンサを取り付けると,「負荷そのものの力率」が改善されるのか
皆さんの中にある疑問点も,どんどんリストアップしてみたらよいと思います。
「電力を複素数で扱う」というアイデアがあります(複素電力)。
三種ではさほど重要性が高くないテーマですが,二種に挑戦する方は,複素電力を自在に扱えるようになりたいところです。
複素電力を得るためには,複素電圧か複素電流のどちらかを共役複素数にしたうえで掛け算しなければなりません。
「なぜ,複素電圧と複素電流をそのまま掛けてはいけないのか」「なぜ,一方を共役複素数にしたうえで掛けると上手くいくのか」といったことは,今一度考えてみたいテーマです。
三相交流回路については,単相交流がしっかりわかっていれば,とくに問題はないと思われます。
余力があれば,星形結線1相分の瞬時電力波形を描いてみて,それを三相分足し合わせたときに何が起こるか見てみるのも面白いでしょう。
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