電験二種講座,講義紹介:電磁気学3(磁気現象,磁気回路)

電験二種講座に関しても,予約受付を開始した講義について簡単に紹介していきたいと思います。
(「2019年度版」ですので,「2018年度版」に対して多少修正が入っています)

※あくまでも「簡単な紹介」ですので,講義で扱う全ての項目に触れているわけではありません。

磁気現象の前に

磁気現象を扱う前に,いくつかのテーマについて学びます。

面積密度・体積密度の正確な理解

電磁気学では,面積密度や体積密度といった概念をよく扱います。
一見簡単な概念ではありますが,電磁気学において使いこなすにあたっては,一歩踏み込んで正確に理解する必要があります。

電流にまつわる諸テーマ

電気抵抗,電流そのものについての認識の再確認,物質中の「ある点」におけるオームの法則,静電容量と電気抵抗の関係などを学びます。

磁気現象

磁極(磁荷)

「磁気に関するクーロンの法則」も,一般教養の一部として学びます。

しかし,「磁気に関するクーロンの法則」の式を眺めると,妙なことに気づきます。
磁極(磁荷)に働く力が,媒質の比透磁率に反比例するかのように読み取れるのです。

では,2つの磁極(磁荷)の間を満たす媒質を,比透磁率が10倍のものに変えたら,磁極(磁荷)に働く力は1/10に弱まるのでしょうか?

もちろんそんなことはなく,働く力は強くなります。
では「磁気に関するクーロンの法則」をどのように解釈すれば良いのか…そんなことも学びます。


また,$F=mH$ と $F=IBl$ がどのように整合するのか,一般的な説明を紹介します。

磁束密度 $B$

磁束密度 $B$ の定義や磁束の導入,ローレンツ力などを再確認します。

その上で,電流が流れる導体棒に働く力を,自由電子に働くローレンツ力から計算してみます。

ここでまた疑問が生じます。
「自由に動ける電子」に力が働いたとしても,導体棒には力は働かないのではないか?

この疑問は正しいのです。自由電子にローレンツ力が働いたからといって,(直接的には)導体棒には力は働かないのです。

では導体棒に働く力の正体は何なのでしょうか?
こんなことも学びます。

磁界 $H$

まずは真空中において磁界 $H$ という,便宜上の物理量を導入します。

やはり,

  • まずは真空中において磁界 $H$ を導入(定義)し,
  • 後ほど物質中における磁界 $H$ を再定義する

というアプローチが良いでしょう。

初めから「真空中においても物質中においても通用する磁界 $H$ 」を導入するのは,混乱の元になるでしょう。

アンペールの周回積分の法則

三種では扱わなかったような例においても,磁界 $H$ を求めています。
電験二種の試験対策としては重要な所です。

ビオ-サバールの法則

ビオ-サバールの法則においては「短く切った電流」という,ナンセンスなものが登場します。

しかし「短く切った電流」を少し拡張すれば,きちんと電磁気学の理論に収まる法則となっているのだという話も紹介いたします。

ビオ-サバールの法則を使って,三種でやった「円形コイルの中心の磁界」以外の磁界についても,いくつか計算してみるつもりです。

磁気的な場が比透磁率の異なる境界面に斜めに入ると…

電界・電束の場合と似たような話になりますが,一応紹介しておきます。

電磁力の例

三種の復習の意味も込めて,簡単な例について電磁力を計算します。

磁性体

磁性体の内部において,きちんと磁化 $M$ を導入した上で,磁界 $H$ を再定義します。

磁界 $H$ が再定義できたら,いくつかの例における磁界 $H$ を紹介します。

まずは,「空間的対称性が良い」場合の磁界 $H$ を紹介します。
これらは,磁界 $H$ を誤解している人でも,安心してみることができます。
なぜなら,ここではまだ,誤解していることに気づけないからです。

次に,「空間的対称性が悪い」場合の磁界 $H$ を紹介します。
これらは,磁界 $H$ を誤解している人にとっては,受け入れがたいかもしれません。
そして結局の所,$H$ というものが,$B$ と $M$ から「定義式に従って計算されたもの」でしかないことを理解することになるでしょう。

磁気回路

磁気回路の簡単なおさらいと,三種では扱わなかった例をいくつか取り上げます。
※インダクタンスとのからみは,また後日の講義に譲りたいと思います。

雑談

磁気現象にまつわる興味深いテーマについて,時間があればいくつか紹介したいと考えています。


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