電験三種,過去問題への取り組み方・過去問題集の選び方【2023年度版】

電験三種を受験予定の皆さま,学習は順調ですか?

過去問題集の選び方や取り組み方を,私なりにまとめてみました。

少しでも参考になれば幸いです。

過去問題にとりくむ重要性の変化

2023年度(令和5年度)からCBT方式の試験が加わります。

そこで予想されるのが,過去問題が出題される頻度が上がるのではないか,ということです。

「基礎を勉強せずに過去問題だけを頑張る」という学習スタイルは(個人的には)お勧めしませんが,過去問題への取り組みがこれまで以上に重要となってくることは十分予想されます。

過去問題への取り組み方

まずは,過去問題への取り組み方についてまとめてみます。

分野ごとにやるか,年度ごとにやるか

過去問題集は,

  • 過去問題を分野ごとにまとめたもの
  • 過去問題を年度ごとに掲載したもの

に大別されます。

試験の3ヶ月くらい前からは,年度ごとの過去問題に取り組むことをオススメします。

過去問題に着手してからは,スポット的に分野ごとの過去問題に取り組むのはよいかもしれませんが,「長期にわたって触らない分野」を作ってしまうのはお勧めしにくいです。

年度ごとの過去問題を,どういう順番で取り組むか

年度ごとの過去問題を解くことにあたって,

  • 新しい年度から古い年度に向かって進めるのか
  • 古い年度から新しい年度に向かって進めるのか

という問題があります。

個人的には,

  • 新しい年度から古い年度に向かって進める

ことをお勧めしています。

理由としては,

  • 直近の試験問題の感触をつかめる
  • 計画通り進められなくても,「達成できなかった」という感覚が少ない

という2点が挙げられます。

また,

  • 直近1~2年の問題は今年出題されないから,やらない

という方もいますが,個人的には直近の問題もやっておいたほうがよいと思います。

理由は,「出題のされ方」などが大きく変化していないかを確認できるからです。

※近年ですと法規科目の一部の問題において,「出題のされ方」がある年を境に大きく変化した事例があります。

1周目は1問づつ,2周目は年度ごと,余力があれば3周目

年度ごとの過去問題を取り組むに当たって,1周目と2周目では差を付けた方がよいでしょう。

1周目:1問解いたら,すぐに解説を見る

1問ずつ丁寧に解きましょう。

「自分すら読めない殴り書きのメモ」を書いていては,あまり勉強になりません。
自分の思考を後で検証できないからです。

問題で文字が割り当てられていない諸量にもなるべく文字を割り当てて計算しましょう。

たとえば「定格一次電圧が 6 600 V」などと書かれていたら,

$$V_\mathrm{1n}=6\,600\ \mathrm{V}$$

などと文字を割り当てて,文字で式を立てていきます。

よく「1問にかけられる時間は約5分」などといいますが,1周目は時間がかかってもよいので,慌てずに落ち着いて解きましょう。

2周目:1セットをまとめて解き,その後解説を見る

1セット(たとえば2020年理論)を所定の時間(たとえば90分)で解きましょう。

「コンスタントに8割程度の得点ができるかどうか」という観点で,ご自身の実力を評価してはいかがでしょうか。

3周目:2周目と同様

余力があれば,3周目に取り組んでも良いでしょう。

過去問題を何年分やるか?

とりあえずは,10年分をやるようにしましょう。

もちろん,「10年分やらないと合格できない」とは思いません。

過去のどの問題をやっても「納得ずくで解ける」という自信があるのであれば,3~5年分程度でも十分だと思います。

ただ,「10年分やらずに不合格になった」という経験があるのであれば,今年は少なくとも10年分はやったうえで試験に挑みたいところです。

解説を読んでもわからなければ…

解説を読んでもわからなければ,わかる人に訊いてしまいましょう。

今の時代「人に訊く」手段はいろいろありますので,それらを有効に活用されたらよいでしょう。

もちろん当講座の受講者は,講師である私に訊いてしまえばよいのです。

ただ,「自分にとっては難しすぎる」と感じる問題については,いったん保留にしておき,実力が付いてから再度取り組むとよいでしょう。

また,解説が誤解に基づいたものになっている場合もあります。複数の書籍を見比べることもおすすめいたします。

過去問題集の選び方

既に過去問題集を入手済みかもしれませんが,参考までにいくつか挙げておきます。

過去問題集を入手したら,すぐに出版社のWebサイト(ホームページ)に行って「正誤表」の有無を確かめましょう。

4科目の10年もの

受験する科目が3~4科目の方は,「4科目の10年もの」を選ぶとよいでしょう。

代表的なものが,コチラです。

また,正誤表が出ていないか,確認しておきましょう。

【電気書院】

Kindle版を検討する

大画面のタブレット端末をお持ちであれば,Kindle版の利用を検討しても良いでしょう。


TAC出版からも紙の書籍が出版されていますので,(理想を言えば)現物を見た上で購入したいところです。

1科目の15年もの

「残りあと1科目」「残りあと2科目」といった方で,多めに過去問題を解きたい場合は,こちらの過去問題集を選ぶとよいかもしれません。

ただ,過去問題がテーマごとに並んでいるので,「年度ごとに取り組みたい」という場合には向きません。


「古い」過去問題に取り組むメリット

電験三種は,「過去に出題された問題はあまり出ない」と思われがちですが,長いスパンで眺めると,ほとんど「同じ」問題が出たりします。

個人的には,あまり古い過去問題まで取り組む必要性を感じませんが,

  • どうしても今年合格しなければならないし,
  • 勉強時間は相当量確保できる

ということであれば,取り組んでみても良いでしょう。

「古い過去問題」に取り組む際には,「どこまでさかのぼるか」をあらかじめ決めておきたいです。

試験制度の変更なども考慮すれば,

  • 平成7年まで
  • 平成元年まで

の2択になるのではないでしょうか(昭和の問題をかじってもよいかとは思いますが…)。

電気書院が過去に出版していたシリーズで,たとえば

『電験第三種 理論〈2001年版〉(科目合格のためのデータベースマスタブック)』

という書籍があります。
※科目名や年度の部分は変わります。

※〈2001年版〉というのは,「2001年の受験者を対象としている」という意味ですので,収録されている問題は「2000年のものまで」ということになります。

私なりに調べてみたところ,タイトルの年度と収録年度の関係は,以下のようになっていました。

※実際に購入される際は,ご自身でよくご確認ください。

  • 2001年版:平成元年~平成12年(12年分)
  • 2002年版:平成元年~平成13年(13年分)
  • 2003年版:平成元年~平成14年(14年分)
  • 2004年版:平成元年~平成15年(15年分)【お得】
  • 2005年版:平成2年~平成16年(15年分)
  • 2007年版:平成4年~平成18年(15年分)
  • 2008年版:平成5年~平成19年(15年分)
  • 2009年版:平成6年~平成20年(15年分)
  • 2010年版:平成7年~平成21年(15年分)【お得】

平成元年までさかのぼりたいのであれば,2004年以前の版を選ぶことになるでしょうし,平成7年までさかのぼりたいのであれば,2010年以前の版を選ぶことになるでしょう。

収録問題について「お得」なのは2004年版と2010年版なのですが,人気が高いので入手性は悪くなります(品切れだったり,高価だったり)。

個人的には「妥協して,安いものを入手する」のがよいと思っています。

【Amazonで古い過去問題を探す】

※昨今はかなり品薄になっているようです。

なお,「古い」過去問題の入手方法は他にもありますので,ご自身の知っている範囲・できる範囲で入手なさるとよいでしょう。

最後に

まずは,1問1問丁寧に取り組んでください。

「追い込む」のは,2周目以降がよいでしょう。

過去問題をほとんどやらない,あるいは過去問題をほとんど解けない状態で試験会場に行く方がいらっしゃいますが,それでは合格は難しいと思います。

やはり合格するつもりであれば,過去問題をある程度解ける状態に仕上げてから試験を受けたいところです。

頑張ってください。