電験二種講座,講義紹介:電磁気学2(コンデンサ)

電験二種講座に関しては,「次回の」講義について簡単に紹介していきたいと思います。
(「2019年度版」ですが,この講義については基本的に「2018年度版」と同じ内容です。)

※あくまでも「簡単な紹介」ですので,講義で扱う全ての項目に触れているわけではありません。

コンデンサ

コンデンサは身近な題材であるにもかかわらず,皆さんの理解(の仕方)や巷の書籍での説明に,不安を感じる点が多くあります。

誤解や迷信?を払拭し,素直で正しい理解を獲得したいところです。

コンデンサの基礎

「公式」という用語を好んで使う方は,それが「定義」なのか,「調査した結果」なのかを意識していないことが多いようです。

「定義」は「定義である」と認識する必要がありますし,もう少し言えば「そのような定義が妥当である」と納得する必要があります。

また,「調査した結果」は,覚えるべきものは覚えた方がよいとは思いますが,その「調査する過程」こそが重要だったりします。
自力で調査し,正しい結果を導出できるようになりましょう。

※電験二種に合格するような方でも「なぜコンデンサに電流が流れるのか分からない」とおっしゃっていることがあります。
分からなければ,講義当日に申し出てください。説明いたします。

誘電体と電束

誘電体や誘電率について,基本的な考え方をおさらいします。

「誘電率」という用語をどのように解釈するのが素直なのか,また,「比誘電率」に再度名前を付けることができるのなら,どう名付けるのがよいのか,といったことも説明します。


電験三種講座では,電磁気学の本質を見失わないために,なるべく電束という概念を避けた説明をしていました。

しかし,巷の参考書では電束という概念が頻繁に出てきますし,電束と関係のある「分極ベクトルの大きさ $P$ 」まで(なんの説明も無く)登場していたりします。

分極ベクトル $\vec{P}$ はどのように定義されるものなのか,分極ベクトル $\vec{P}$ を「どのように捉える」のがよいのか,といったことを前提に,電束密度ベクトル $\vec{D}$ の定義を紹介します。

また,分極ベクトル $\vec{P}$ とのからみで誘電体がどのように扱われるのかについて,「一般的な」説明をいたします。

なお,定番の「境界面に電束が斜めに入った場合」の説明については,巷の参考書に書かれている説明以外に,違ったアプローチも紹介する予定です。

静電容量を「電磁気学的に」計算する

二種では積分が「解禁」になりますから,様々な静電容量が計算できるようになります。
「試験にも頻繁に出題される」テーマですから,しっかり計算できるようになりましょう。

「変わりダネ」として「孤立した金属球の静電容量」という概念があります。
人によってはこの概念をどう解釈したらよいのか,悩まれることでしょう。
講義では,一つの解釈を提示します。

コンデンサにおける金属板の見方・扱い方

コンデンサの問題では,金属板が重要な役割を果たします。

図では,(横から見た)金属板は「ただの1本の線」で描かれることが多いです。
この「ただの1本の線」をどのように見るのか,どのように扱うのかは,とても重要なテーマです。

コンデンサに蓄えられるエネルギー

三種では積分が使えないので,結論を覚えました。
二種では積分を使って,結論を導出します。
また,すこしトリッキーな方法(本質的に積分を使わなくて済む)も紹介します。

仮想変位の考え方や,「電界のある空間自体がエネルギーを持つ」という考え方も紹介します。

また,コンデンサに誘電体を出し入れした際のエネルギーのやりとりについても様々な例について考察します。

コンデンサの直列・並列接続

三種の復習といった色合いが濃くなりますが,しっかり押さえておきたいところです。

「コンデンサを直列接続すると静電容量が減少してしまうのに,そんなことをするメリットがあるのか?」といったことや,「直列のコンデンサには同じ量の電荷が蓄えられるというのは本当か?」といったことも考えてみたいと思っています。

電気回路理論の基礎としての「コンデンサの理解」

電気回路理論では,電圧や電流を主に扱うことになり,電荷や磁束は「なるべく表だって扱いたくない物理量」になります。

コンデンサの素子特性も,電圧と電流の関係式で表現されますが,この式を「物理的なイメージを伴って」理解して欲しいと考えています。

といいますのも,コンデンサには迷信?がしつこくつきまとっている印象があるからです。
「コンデンサは進み」
「コンデンサでは電流は進む」
「コンデンサには電流の位相を進ませる性質がある」
もしも上記のようなお題目を「信仰」しているのであれば,はやく脱却して欲しいのです。

講義では,電気以外のあるものを使って,コンデンサの素子特性をモデリングします。
このモデルでコンデンサの素子特性に「納得」がいったところで,こんどは「電気そのもの」でコンデンサの素子特性を考察します。

ここまでくれば,お題目の信仰とはおさらばできるハズです。

電荷が蓄えられた2個のコンデンサを接続する問題の研究

電験三種でも電験二種でも,「電荷が蓄えられた2個のコンデンサを接続する問題」がよく出題されます。
接続後は,接続前に比べて,コンデンサに蓄えられているエネルギーが減少します。

ではこの減少分はどこに行ったのか?という当然の疑問が出てきます。

抵抗を介さずに接続された場合については,皆さんもどこかで説明を聞いたり読んだりしたかもしれません。

抵抗を介して接続された場合については,「減少分は全て抵抗で消費された」と説明されますし,回路計算してみると「そうなっていることが分かります」。
しかしこれは本当でしょうか?
そんな話もしたいと思っています。



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